俺を、真っ直ぐに見つめ返す佐藤の瞳に未だに浮かぶ、誰かを想う涙。

その誰かが、俺以外だなんて、許せない。



「もう、知らない」


言うのが早かったか、手を伸ばすのが早かったか。

佐藤の柔らかい唇に、俺のそれを押し付けた。



俺以外のことなんて、考えられなくなればいい。
涙を流すなら、俺を想えばいい。
たとえそれが、恨みや憎しみでもいいから。


そんな風な思いから、佐藤を責め立てるように激しいキスを繰り返す。


佐藤が俺の胸を一生懸命押し返すが気にしない。