…空って こんなに青かった?
まぁ、どうでもいいや。


一歩。また一歩。
足を進めて行く。


病院の屋上なのにここってフェンスないんだ

そんなことを考えていた。

5㎝足らずの段差

段差に上がる前に院内専用のスリッパを
左右そろえて

お世話になりました

との感謝をこめきれいに並べる。

直に床と足が密着して
床が一気に熱を奪っていく。

冷たすぎて足の指の感覚がマヒしてきた。


段差の向こうの空へと飛びだそうと足に力をいれた瞬間

風が吹いた。


私の体をその風に屋上へと戻され

スリッパの横に置いていた

[遺書]

が彼方へと飛んでいってしまった。


「どうして下を見ていたの?
下におもしろいものでもあったのかしら
それとも何?自殺?」

…誰?

「私のことなんてどうでもいいわ」


突然
ふと現れた少女に気がとられていたが
私はまた段差の上に。

自然に体が動いていた。

私の体は私を殺したくて殺したくて
たまらないんだろうね。

「飛び降りようとしてたのでしょう」

だったら何?私を止める?

「熱血みたいに「ダメだっ!!」とか
精神論が聞きたいの?」

別に。

「何故死のうとしているのか聞かせて」

死にたいからに決まってるじゃない。

「死に逃げるの?」

逃げるって…
そんなつもり…

「何も努力も苦しんでもないくせに
死に逃げるだなんて許さない」

貴方に関係ない

「貴方が捨てようとしてるのは
今日死にたくなかった人が死ぬ気で迎えたかった明日なの
貴方はまだまだ生きることができる
それなのに死のうだなんて
甘えるのもほどほどにしなさい」