「私も、私も連れて行って!」 夢中で叫ぶと、玲子も瞬く間にボトルの海に吸い込まれる。 小さな玲子は、カナリヤ色のショートボードに苦もなく立ち上がり、 飛沫を盛大に散らす急ターン、派手なカットバックを決めると、 誠と常夏の笑みを交し合った。 マリンブルーのガラスの外が、ボトルの向こうがどんなに荒れ果てていても、 閉じた2人だけの夏にはもうなんの関係もない。 玲子は、痺れるような喜びに酔い痴れる。