そのとき玲子は、凍てつくような寒さを感じて周りを見回し、悲鳴を上げた。
見慣れたリーシュコードの全てが、
砂でできた城のように、吹き抜ける北風に弄られて脆く崩れ始めているのだ。
天井でゆったりと回っていた扇風機は、
一瞬でひび割れ、冬の花火のように砕け散った。
それを合図に、バックバーのボトルたちが次々と弾けだし、
並んだグラスや皿も壊れ、窓や鏡には蜘蛛の巣のようなひびが走り始める。
誠が去ったリーシュコードは、真冬の砂漠さながらの、
凍てつき、枯れ果て、全てがひび割れた世界となった。
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