「酒と、煙草と、違法合法に関わらずドラッグ類の全面禁止、だっけ。
栄治がうちに住み込むときの条件」
玲子も、弾けるシャンパンの泡の向こう側に、
キラキラしたあの頃の思い出を浮べて微笑んだ。
「そう、それ! 誠さんが言い出したんだっけ?
女が入ってないのが誠さんらしいよね」
栄治は、大きくうなずくと爆笑する。
中学1年生からリーシュコードに通っていた栄治は、
卒業後は店から徒歩5分の鉄平と玲子の家に転がり込んで、住み込みで働き始めていた。
今思えば、離婚したばかりの両親のどちらにも、
すでに結婚を前提とした恋人がいることに気づいていたのだろう。