「誠、なにしてやがる、玲子に触ってんじゃねえ!」



 そのとき、罵声と共に、誠の体が荒っぽく突き飛ばされた。



 玲子が驚いて振り向くと、いつの間にか、パンチアウトから出てきた鉄平がそこに立っている。



「小僧、上がって来い! 

お前の身柄は、俺が責任持って親からも学校からも引き受ける。

早く1階で欲しいボード選べ。金が貯まるまで奥に取っておいてやるから」



 そして鉄平は、慌てて涙をふいている玲子に笑いかけた。



 玲子も、笑い返す。



 鉄平の目尻の皺の間に見える、熱い涙に気づかないふりをしながら。