やがて水着に着替えた栄治は、玲子と誠が見守る中、
傾き始めた日差しが砂金のように転がってくる砂浜に立った。
運良く海水浴シーズンに入る寸前で、
パンチアウト前のビーチはサーフィン禁止にはなっていない。
玲子は、腰から胸辺りの波にゆられる栄治の華奢なシルエットに意識を集中させる。
栄治は、誠から借りたボードを抱きしめて祈るようにたたずんでいた。
「おまえたち、よく似てるよ」
そのとき、誠がぼそりとつぶやいた。
確かに、玲子の目にも、栄治の目にも、ままならない現実を打ち破る意思が秘められていた。
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