「……お金って、何に使うの?」



 誠の話を聞き終えた玲子は、一言も口を挟まずにたたずむ栄治にそう問いかけた。



「サーフィン」



 栄治は、華奢な首を上げて玲子をまっすぐに見すえると、そう言った。



 どうしても、自分自身のサーフボードが欲しいのだ、と。



 その子犬のように濡れた眼差しの奥には、本気の欲望が幼い牙を砥いでいた。



 その瞬間、玲子の胸に心臓がねじれたような嫉妬の激痛が走る。