そして少年は、サーフボードに触るのは今日が初めてという全くの初心者にもかかわらず、

誠の指示に従って見事な安定のパドリングを見せ、



最初の1回目で、誠愛用のショートボードの上にスタンドアップしてみせたという。



 初心者が浮力の弱いエキスパート用のショートボードを使って、最初の1
回でそこに立ち上がった話など、

サーフショップで育った玲子ですら聞いたことがなかった。



 その小柄な少年は、佐川栄治と名乗り、

どうしても自分にはお金が必要なのだと真面目腐った顔で続けたそうだ。