「それとも、今ごろ結婚の報告?!

たしか、今年の4月に田浦志保ちゃんと入籍したって聞いてるんだけど?!」



 そして突然悪戯っぽく笑うと、栄治の左手首を両手で捕らえてそう言った。



 日焼けした薬指には、プラチナの指輪が厳かに輝いている。



 そのとき、自分が口にした結婚の一言に反応するように、胸の片隅がちくりと痛んだ。