今年20歳になったはずの栄治は、 湘南で最も有名なアマチュアサーファーのうちの1人だ。 去年の茅ヶ崎市長杯では、見事優勝をさらっていた。 リーシュコードで働いていた間は、 それこそ家族同前の付き合いをしていたけれど、 辞めてからは今まで一度も2人は顔を合わせていない。 「もしかして、なにか相談でもあるの? 困ったこととか?」 玲子は、最初の驚きから覚めると、わざと心配そうにかつての弟分の顔をのぞき込む。