「大当たり! ね、先輩、今日、ここ閉めてから時間ある?」



 そして懐かしげに目を細めると、

白壁のささくれたリーシュコードを見上げていきなりそう言った。



「……時間ならあるけど。どうしたの、急に。

まさか台風が来てもいないのに、

こんなビギナー用のポイントに波乗りに来たわけでもないんでしょ?」



 やっと現実に頭が追いついた玲子は、我ながらずいぶんそっけない声を出していた。



 栄治ともう一度会えたなら、そのときには話したいことが山ほどあると思っていたはずなのに。