「玲子先輩!」 そのとき、いきなり聞き覚えのある声がビーチから玲子を呼び止めた。 やがて軽い足音と共に、懐かしい気配が階段を駆け上がってくる。 振り向いた玲子は、思わず目を見開いた。 「久しぶり。いきなり来てごめん」 目の前の男は、金茶に潮焼けした髪の向こうで、 子犬のように無垢な眼を輝かせている。 微笑むと、整った頬骨と顎のラインがちょうどいい具合に緩んだ。