そこでは栄治が、見事な手つきでフライパンを返している。 「おおっ。 上手いもんだね。 とても目玉焼きすら作れない中学生だったとは思えない」 オムレツがくるりと宙を舞った瞬間、玲子は拍手喝采をして言った。 「おかげさまで。 うちの親父さん厳しいからさ」 すると栄治は、照れたようにそう言って胸を張る。