「俺……さ、もうサーフィン止めたんだ。今年の春で」



「えっ?!」



「田浦の、志保の親父さんから出された結婚の条件。男と男の約束っつーの?」



 そして顔を上げると、一瞬泣きそうな笑顔を見せた。



「……承知、したんだ」



 そんな場合では全くないのに、玲子は、

夏が去って行く痛みと共にそうつぶやいていた。



 玲子の知る限り、サーフィンは栄治の全てだった。