あの夜、誠に求められるままに、確かに2人は一晩中愛し合っていた。



 自分の部屋に上がる余裕もなく、栄治の大切な『俺のパラダイス』の側で。




 あのときの玲子にとって、世界には自分と誠しか存在していなかった。



 一つ屋根の下で寝起きする、栄治と鉄平のことすら忘れ果てていた。



「あの日の夜中、俺、帰ってきた鉄平さんに言ったんだ。

 大好きな玲子先輩を襲わない自信がないから、

 俺をリーシュコードから追い出して、二人を早く結婚させてくださいって。



 ……もちろん、のぞいたことは言えなかったけどね」



 そして続いた栄治の言葉に、両腕に爪を食い込ませる。



 当時の自分が17歳の栄治に与えた痛みを想像すると、吐きそうな自己嫌悪

に襲われ、めまいがした。