「やめて!!」



 誠は一瞬ぐらついたけれど、すぐに体勢を立て直し、

栄治の襟首をつかむ。



 そして誠の腹に向けて、栄治の膝蹴りが放たれた。
 


 玲子の閉じたまぶたには、誠がその膝を抱え込み、

逆に栄治の腹に拳を叩き込む姿が、スローモーションのように映っていた。