そのとき突然、心臓を切り裂くような爆音が響き、

玲子は、はっとして開け放たれた窓辺に駆けよった。



 目を細めて輝きを放つ海を見ると、1台のジェットスキーが、

サーファーたちを蹴散らすように縦横無尽に走り抜けていく。


 
 弾みを喰らった女性サーファーがボードから落ちたとき、

玲子は、思わず左足をかばいながら店の外に走り出ていた。



 ビーチへと続く階段のフェンスから身を乗り出すと、

父親の鉄平が、ハンディマイクを片手にガニ股で波打ち際へと駆けて行く背中が見える。



 鉄平は、危険走行は止めろとジェットスキーヤーを雷のような声で怒鳴りつけた。