「次はカクテルでも飲む?」



 そして涙をぬぐうと振り返り、リーシュコードの玲子ママの眼差しで笑いかけた。



 栄治がほっとしたようにうなずくと、白銀のシェーカーを振って、

今一番よく出るカクテルを作り始める。



「お待たせ。ブルーラグーン」



「前よりずいぶん酒増えたと思ったけど、カクテルまで出すようになったんだ。

玲子先輩、シェーカー似合うね」



 オレンジとチェリーを飾ったグラスを前に、栄治は目を細めてそう言った。



 そしてキュラソーのブルーがゆれるカクテルに、宝物に触れるように唇をつける。