玲子は、誠の熱い身体に息を殺してしがみつく。



 呑み尽くされる怖さと、芯まで呑まれてみたい衝動。



 やがてその果ての痙攣が全身を支配したとき、

玲子は、自分の内側に広がる海のきらめきを初めて目の当たりにする。




 「……やっと帰ってきた気分になれたよ」



 砂浜に打ち上げられたかのように、大きく息を吐きながら、

そうつぶやいた誠も、玲子の中に湘南の海を見たのかもしれない。