仰ぎ見たガラスの天井に、

晴天の稲妻のようなひびが白く走っていくのに気づいたのは、そのときだ。



 同時に、潮の香りは急速に消え失せ、酒臭い波は荒れ果てて、

玲子と誠は、必死にボードにしがみついた。



 玲子は、溺れながら、足掻く誠に手を伸ばす。



 そのときアクアブルーの2人だけの海は、エンドレスサマーは砕け散り、

ずぶ濡れの玲子は、荒れ果てたリーシュコードに立ちつくしたまま、



腕の中の割れたボンベイ・サファイヤのボトルを成す術もなく見下ろしていた。