「ん? そーだな……」


恭ちゃんは意外とあっさり引き下がって、流れ玉に当たって落ちた景品を受け取った。


「やっぱ、一筋縄じゃいかねーな」


しばらく歩くと、恭ちゃんがボソリと呟いた。


「え?」

「簡単にゲットできたら、商売あがったりってこと」


ちょっとだけ、悔しそうに苦笑して。


「ってゆーか。取れなかった言い訳っぽいし。……弥生にあげたかったんだけどなー」


恭ちゃんは、あたしの目を真っ直ぐに見て微笑んだ。


「うぅん……その気持ちが、すごく嬉しい」


何だか胸の奥がジンとして、繋いだ手をきゅっと握り締める。


恭ちゃんで良かった。

あたしの好きな人が恭ちゃんで――