「あ。あれ可愛い」

「何? どれ?」


結局……食欲に負けて、ふたりでたこ焼きを食べ歩きしている途中。

思わず呟いたあたしに、恭ちゃんが聞き返した。


「あのテディベア。……恭ちゃん?」


射的の屋台を指さすと、恭ちゃんはあたしの手を引いた。


「おっちゃん。お願い」


小銭をポケットから数枚取り出し、屋台のおじさんにそれを渡すと、恭ちゃんは射的用の銃を構えた。


かっこいい……


その姿も様になっていて、つい見惚れてしまう。


「あぁ……惜しい」


何発か撃って、テディベアに命中はするんだけど……。

重みがあるのか、なかなか落とせない。


「恭ちゃん。もういいよ?」


何度目かのチャレンジに失敗して、あたしは恭ちゃんの腕にしがみついた。