「電話…。」

「出なくていい。」

「でも…。」

「煩い。」

少し怒った顔で制止する。

そのうち電話は鳴り止み、静けさが訪れる。

その静けさが時計の音を誇張する。

体が硬くなって生唾をゴクリと飲み込んだ。

顔を少し傾けて更に近くなる。

も…だめ!

ぐっと目を閉じた。




「天宮さん、いるー?」

突然玄関で声がして、閉じていた目をぱっと開けると尊と目が合った。

お隣の山下さんだ。今日おばちゃんは忘年会に行っていて留守だ。

対応に出た尊のいない隙にサッと起きて、ダダダ…と自分の部屋に入った。