〈博貴side〉
咲と歩くバージンロード。
こうしてここを腕を組んで歩くのは２回目のはずだった。
この教会は雪乃とデートした時に見つけた。
扉は開いていて、二人で中に入ってみた。
小さな教会なのに中は豪華だ。
ステンドグラスに、柱や壁には彫刻があり、それらは窓から差し込む太陽の光に金色に輝いている。
にも関わらず、正面にあるイエス･キリストの十字架は木製で、年季が入って黒光りしていた。
「…凄い綺麗。こんな教会があったんだね。」
あまりに厳かな空間に、言葉を発することさえはばかられるような気持ちになる。
その教会を後にした時、雪乃は呟いた。
「将来、ここで結婚式やりたいな。…ふふっ、相手探さなきゃね。」
まだ高校生の俺に気を遣ったのか、デートなのにそんなことを言った。
俺は単純に俺とは結婚するつもりはないと言われたように受け取って、ブスッと膨れたんだ。
