その試合の結果を言った後、付け足すようにこう言った。

『天宮選手の回復が待たれますね。』

尊に…何かあったんだ……。

だからお義父さんお義母さんが来ないの?
尊は病気?事故?それとも肘や膝の故障なの?

電話…!

ケータイは事故の時にどこかにいってしまって今はない。

部屋に戻って小銭を取り出すと公衆電話の受話器をとった。
お金を入れて、番号を押そうとして手が止まる。

番号…何番?
えっ…と、たしか……。
あ、あれ?何番だったかな。覚えてたはずなのに。

………私、何のために電話しようとしたんだっけ?

どこへかける…の?



何かおかしい。今、考えていたことを忘れてしまう。

胸がドキドキする。
嫌なことが起こりそうで…。
誰か教えて!

コンコン…

「天宮さん、リハビリに行きましょうか。」

看護師が入ってきて背後から車椅子を押そうとする。

「…私は……」

「何ですか?」

「……私は一文字よ。」