私はもう目覚めてるよ。目が開けられないだけ。
こうして薄目でしか見れなくて、目の前がぼやけてはっきりしないだけ。

「…咲に謝らなくちゃいけない。約束を破ってすまなかった。
今更って思うだろうけど、君が眠っている間に言い訳をさせてくれないか。

俺は君を守ったつもりでいたんだ。
でもそれは咲のためじゃなくて、都合のいい言い訳にしか過ぎなかった。
突然現れた君が娘だと分かって、嬉しいというより戸惑いの方が大きかった。
気持ちの整理がなかなかつかなくて、これ以上先延ばしにはできないところまでいって、天宮家を訪ねた。
その時は認知をするつもりでいたんだ。
だけど貴士の気持ちを考えるとすんなりできなかった。
ふっ…貴士のことより君のことを考えるべきだったのに。
後悔したよ。
咲に逢いたくて逢いたくて…日毎に気持ちは募っていった。

もう限界かも…て思っていたら、貴士から葉書が送られてきたんだ。」