「誤魔化さないで。
お兄さんといつそんな話したの?」
咲の尊を見る瞳は真っ直ぐで、尊を疑うというより信頼してるという強い意思表示に思えた。
「…ごめん。」
「……元気にしてると…心配いらないということ?」
黙ったまま何も答えない。視線は俯き加減で目を合わせない。
何があったの?
私には言えないようなこと?
どっちにしても私に関係してることを尊は知ってる。
「言うべき時が来たら…」
「………そう。」
これ以上訊いてもたぶん尊は答えない。
「お兄さんも尊が知ってるの分かってて何も言ってこないんだね。
…お兄さんに嫌われたんじゃないんだよね?
何か事情があって…それで…」
咲の寂しそうな顔は尊の心を締め付ける。
「博貴さんからの連絡を待ってるのは咲だけじゃない。俺もだよ。」
「え…尊も?」
「そう。咲が幸せになるためには博貴さんが必要不可欠だ。彼がいて俺も幸せになれる。」
首を傾げていると尊は続ける。
「小さい頃のように屈託なく笑う咲が見たい。咲の笑顔は俺を幸せにする。」