「……そうか。安心か…。」
そうかもしれない。
ほっとしているのだろうな。
おそらく咲ちゃんは認知に前向きなのだろう。
だがこれは当人同士の問題。
私たちがとやかく言える立場ではない。
どうやって紗智を納得させるか…。
本当に貴士くんは咲ちゃんを想ってるのだろうか。
「尊は貴士くんの話は聞いてるか?」
「貴士?ああ、弟か。俺、あいつ嫌い。」
「嫌い?」
「うん。何かと咲に関わろうとする。でも最近は忙しいみたいで咲も会ってないよ。大学を卒業したら北海道へ行くんだってさ。」
「ほう。じゃあ、これからは関わりがなくなるんだな。」
「そ。何だかんだと咲の周りも俺の周りも騒がしかったからね。やっと落ち着く。」
「貴士くんは咲ちゃんが好きなのか?」
「ああ。」
「でも彼は叔父さんに当たるだろう?それでも好きだと言うだろうか。」