「紗智…。それは私も同じだ。急に咲ちゃんを取られたような気持ちになったんだろう?
でもこれはあの子が決めることなんだよ。
いくら私たちの傍にいて欲しいと望んでも、それがあの子の望みでないなら諦めるしか…」

「それは駄目!絶対に嫌。第一、咲ちゃんと尊は離しちゃいけないわ。あの子たちはお互いを信頼して支え合ってる。どちらが欠けても駄目になるもの。」

「引き離すって…そんな遠くに行く訳じゃあるまいし……。」

「……北条さんの弟、貴士さん…て知ってる?」

「ああ、彼を通じて北条くんと知り合ったんだろ?」

「貴士さんは…咲ちゃんのことを想ってる。」

「え?まさか。彼は咲ちゃんの叔父さんに当たるんだぞ。そんなこと…」

「今回のことがわかる前からずっと咲ちゃんのことが好きなのよ。
だからとにかく咲ちゃんは…」

「わかった。わかったから…もう言うな。あの子は私たちの手で幸せにしよう。今までもこれから先もずっと親は私たちだ。」