友美は一瞬顔を曇らせた。
けど…

「…親友でしょ?」

この言葉に友美は咲に飛びついた。

「もう!意地悪なんだから。びっくりしたあ!!咲のばか!」

「あはは…今頃気づいた?」

二人で声を出して笑った。
改めて最高の友だちだと思えた瞬間だった。

「ねえ、先輩のこと訊いてもいい?」

「あ、そうだ。咲には報告しなきゃね。」

友美は咲の目をまっすぐ見つめ背筋をピンと伸ばした。

「聖司くんは8月5日に出発したよ。
咲は大会前だったから知らせなかった。
留学の話を聞いてから、心を納得させるのに時間がかかっちゃったよ。
毎日泣いて、当たり散らして、家族を困らせた。
聖司くんの前ではずっと我慢して、聞き分けのいい彼女のフリをして…。でもそんなの長くは続かない。日が迫ってくるにつれてイライラして、不安が募る。で、ある日爆発したの。」

友美が?嘘…信じられない。いつも冷静なのに。