「友美。この箱、中見た?」
「…見てない。」
「ふふ…。きっとつまんない物しか入ってないよ?見てみようか。」
「待って。」
開けようとした手を友美は押さえた。
「これは天宮くんの思い出でもあるんだよ。確認するのは私じゃない。二人でするべきよ。」
「そう?友美がそう言うなら…。」
箱の蓋を元に戻した。
友美はスッキリしたのか笑顔で言う。
「ありがと、咲。ずっと胸に支えてたものが取れたみたい。
実はね、聖司くんに叱られたの。
出発前、部屋に来た時にこの箱見られて問い詰められたのよ。
『人の大切なものをいつまで持ってるんだ』て。
その時気がついたの。返さなきゃ…て。
それまで自分の物みたいにずっと持ってて、感覚が麻痺してたのかな。
今更返せないという思いがあったかもしれない。
咲が私を責めてくれたら少しは気が楽になれるなんて、責任転嫁しようとしてた。
ちゃんと自分のしたことを自分で認めなきゃいけないよね。
こんな私でも、まだ友だちでいてくれる?」
「何言ってんの?友だちじゃないよ。」