「二人がそこから離れて違う遊びに移った後、こっそり掘り返したの。そしたらこれが出てきて…。」
咲はその箱をじっと眺めて微笑んだ。
「…ありがと。
もし友美が取り出してくれなかったら、もうヨレヨレになって何が入ってたのかわからなくなるとこだった。
こんな紙の箱だもん。
それに今まで大切に持っててくれたんだね。
今見たらきっと何これ?ていうようなものかもしれないのに。」
「……怒らないの?私…咲たちの思い出を壊したんだよ。」
「ううん。それは違う。壊したんじゃなくて守ってくれたんだよ。」
「………。」
「この箱を埋めたことさえ忘れてたんだよ?
ありがとう。
いくらお礼を言っても足りないぐらい…」
「な…んで、何で怒らないの?
意地悪もしたし、その箱も返さないでずっと持ってた…。
もっと早くに返さなきゃと思いながら、天宮くんが持ってた物を手放したくなくて手元に置いてたんだよ。もっと怒っていいんだってば!」