「それからね、謝らなきゃいけないのは私の方なの。」
「どういうこと?」
友美は立ち上がって机の上に置いた小さな箱を手に取る。
それを咲の前に差し出した。
「これ…覚えてる?」
それは紙でできたお菓子の箱で随分汚れてヨレている。
見覚えがあるような、ないような…。どこにでもあるお菓子の箱だ。
「何?これ。」
「………。咲と…天宮くんの宝物。」
「…宝物?」
「咲が保育園に来た最後の日に、天宮くんと一緒に園庭の片隅に埋めたの。」
最後の日?
11年前、お母さんが迎えに来て、その日尊と遊んで宝物を隠したと話したら、尊に『内緒だから誰にも言うな』と止められた。
あの時の?
「どうして友美がこれを…?」
「あの日ね、遊ぼうと誘って断られたの。彼は咲とずっと一緒にいて、何だか知らないけど二人でこそこそやってた。それが気になってね。離れたとこからずっと見てたんだ。」