ここは思い出の場所。

秋になるとよく一緒に歩いた。
葉っぱを集めて器用に束ねていた雪乃。
小さな束を胸の前で持ち、お嫁さんみたい?て、ふざけてその束を投げあげる。
まるでブーケトスみたいに。

はらはらと散った葉が綺麗で、俺たち二人の頭上に舞落ちた。

雪乃はまだ高校生だった俺に合わせて、身の丈に合った付き合い方をしようと、歩いて行ける範囲で出掛けた。
雪乃の空いた時間を利用して公園に行ったり、駅前の商店街をぶらぶらしたり、一つの缶ジュースを買うのにオレンジがいいだの、グレープがいいだの…。

楽しかった。
お金なんか使わなくても二人でいるだけでよかった。

特に『好き』とか『付き合おう』とか言ったことはない。
けど、言葉なんかなくたって気持ちは通じ合ってたんだ。

雪乃は幸せだったのか?

俺は幸せだった。
その分いなくなった後は辛過ぎたよ。
生きていけないとさえ思った。