知ってた?
知ってて邪魔したのか?
あの時のことが思い出される。
透の誘いを断り切れなかった雪乃が、断るために待ち合わせ場所に行くと、透はまた強引に肩を抱き、嫌がる雪乃の言葉を無視して連れ回した。
俺は様子を伺うためにストーカーまがいの行為までして…。でも途中でバカらしくなって帰ったんだ。
帰ったら帰ったで二人が気になってイライラした。
そして、帰った雪乃に怒りをぶつけた。
あの時のことを今更謝られても雪乃はいない。
俺たちの幸せだった時間をこいつはぶち壊したんだ。
「何で今更そんな気になった?お前らしくないな。」
皮肉を込めて言ってやった。
「実は、緑ヶ丘高校で教師やっててさ、お前と同じ泳ぎ方をする生徒がいるんだ。で、そいつを見てたらお前と雪乃さんを思い出して。
今から思うと随分ひどいことしたから謝りたいと思ったんだ。
おかしいか?」
「…別に。でもそれは俺じゃなくて雪乃に言うべきだろ?」