「バイバーイ。」
「バイバイ。また、明日。」
学校を終えて、門を出たところで友だちと別れた。
私は施設へと引き取られ、そこから小学校へ通うようになった。
初めて施設へ連れて行かれる日、私は車に乗って出かけるんだと思っていた。
知らない大人の人、二人がやってきた。おばちゃんはハンカチで目を押さえてる。
おばちゃん、泣いてるの?
おばちゃんが深く頭を下げるとその大人の人は私の方を向き、優しい笑みで「行こうか。」と言った。
手を引かれ玄関を出ると振り返った。おばちゃんの目は真っ赤だ。
尊はおばちゃんの服を掴んでじっと私を見ている。
「タケルくんは?」
私の手を引いたその人は何も答えず、ただニッコリと微笑んで、「さあ、乗って。」と車に押し込んだ。