もう逃げられない。きちんと向き合わなければ、天宮さんにも咲にも申し訳ない。

「天宮さん、ありがとうございます。自分のことをもっとよく考えるきっかけになりました。僕は甘えすぎてました。自分のことしか考えない浅はかな男です。咲さんには偉そうなことを言っておきながら、自分のことはおろそかで情けなくなりますよ。」

「いや、君を責めた訳じゃないんだが…。」

「今まで気になっていたことがあるんです。一時的に咲さんを苦しめることになるかもしれないですが、許してもらえますか?」

「……それはどういう…?」

「咲さんの父親のことなんですが………」

「……それは…間違いないのか!?」

「わかりません、調べてみないと。ずっとその勇気が出なかったんです。でも今、決心がつきました。」

まっすぐ天宮さんを見つめると、彼は深いため息を一つ吐き、「そうか。」と一言呟いた。

「その件は君に任せるよ。」

彼に肩をポンポンと叩かれて別れた。