「…雪乃さんが支えだったのか。」

「はい。」

「今のあの子たちと同じだな。お互いにどちらが欠けても駄目だろう。
……君は雪乃さんを愛していたのか?」

「………はい。水泳しかしてこなかった僕の初恋です。子どもの頃からずっと面倒を見てもらってて、体が弱かった母に甘えられなくて、雪乃に母性を求めた。それがいつしか愛に変わりました。」

「雪乃さんもきっと同じ気持ちだったんじゃなかろうか?」

「え?」

「雪乃さんはウチのすぐ前に住んでいたんだよ。君の家からそう遠くないだろ?きっと傍で見ていたんじゃないかな。」

「でも、あんなに探して全く手がかりさえ見つからなかった。それが何でそんな近くで…?」

「友だちの家に一緒に住んでたよ。でもその友だちは雪乃さんのお腹が目立つようになった頃引っ越して、そのまま彼女だけが住んでたんだ。」