「…付き合ってません。原因は他にあります。」
「そうか。福田、もう帰っていいぞ。」
「失礼します。」
福田くんを見送ると先生は咲に向き直った。
「さて…。」
「先生、福田くんとは何でもありません。」
「あー、わかったわかった。じゃあ、その不調の原因は何だ?」
「………」
話そうにもどこから話していいのかわからない。今日の午前中に聞いたばかりの話だ。ずっと心の中で揺れてた。第三者である先生ならアドパイスがもらえるかもしれない。
でも胸に詰まった思いが大きくて先に涙が溢れた。
先生は黙ってティッシュを差し出すとしばらく泣かせてくれた。
「…もう大丈夫か?」
「…はい、すみませんでした。」
「話せるとこからでいいから言ってみろよ。」
「…卒業…したら、北海道……無理やり…連れて行くって…。」
「ほう。誰に?」
「知り合いの人…。」
「どういう関係?」