もう、あいつにも北条にも邪魔はさせない。
俺がしっかりと咲を捉えて離さないから。
咲の気持ちが不安にならないように、離れていても大丈夫なように。
だから咲も強くなれ。
俺たちは今までもこれからもずっと繋がっているから。

咲の膝がガクンと落ちた。

「大丈夫か?」

「ん…。」

「こっち来いよ。」

咲をベッドに座らせた。

「…こっち向けよ。」

俯いてそっぽを向いたまま目を合わせようとしない。
さっきから真っ赤なままだ。

「…い…や。」

「ちゃんと目を見ろ!」

両手で頬を挟んでこっちを向かせた。

熱い頬。
潤んだ瞳…。

熱い頬?
潤んだ瞳?

おでこに手を当てた。

「お前っ、熱あるじゃん!」

「…え~?そうなの?」

「そうなの?じゃねえよ!何で熱なんか…。」

「…今日ね、うたた寝しちゃった…。」

「うたた寝?いつ?」