〈咲side〉

え…?

突然の告白に頭の中は真っ白で呆然としてた。手首から肩を掴まれてぐっと引き寄せられると…キスされた。

一瞬のできごとに固まってると、視界の端に人影が目に入る。

…尊……?

見覚えのある女の子が咲を見ている尊を掴まえて、見計らっていたようにチラリとこちらに視線を向けると…キスをする…。

……う…そ…

驚いている尊。

見られたくなかった。

見たくなかった。

福田くんは何事もなかったかのように「また明日。」と帰っていく。

尊は女の子を突き飛ばすと「何すんだよ!!」と怒鳴ってる。

動けない、動けない、動けない

尊はミッチを選んだの?
私は福田くんを選んだ?

違う!違う!違う!

選んでない。
選んでないよ。

お願いだから誤解しないで。

尊は走って咲の傍に来たと思ったら、そのまま通り越して福田くんを追いかける。

…尊、ここにいて!

「尊!」

尊は咲を振り返った。

切なそうな顔をして咲の元に戻ると力一杯抱き締めた。