「何を?」
「あのさ…」
一文字を誰も起こさなかったのはミッチの差し金。
その代わり俺にその役目を言ってきた。
あまり乗り気のしないミッチの計画。
でも一文字が俺のものになるならとOKの返事をした。
彼女と他愛もない話をしながら家まで送る。
家の前で少し話しているとあいつが帰ってきた。ここから100m程離れた曲がり角から自転車でスッと現れた。
一文字からは背中を向けているから見えない。
真っ直ぐこちらに向かって自転車をこぐ。相変わらず仏頂面だ。
と、突然自転車の前にミッチが現れた。
さあ、ミッチの計画が始まった。
「送ってくれてありがと。また明日。」
「一文字!」
踵を返して家に入ろうとする一文字を掴まえて、彼女への想いを口にした。
「…俺…俺…ずっと一文字のこと好きだった。今も一文字しか見えてない。…付き合わないか?」