博貴の言葉は心強かった。
『時の流れに任せればいい』
結局はなるようになるということ。
尊も同じようなこと言ってた。
『赤い糸があるならまた巡り合える』
友美は答えを見つけただろうか。
大会が近づくにつれ、クラブの士気も上がっていく。
細部にわたる手や足の動き、ターンのタイミングなど指示が飛ぶ。
真聖は博貴のフォームを研究して、少し泳ぎを変えたためか今はタイムが落ちている。でも覚えれば早く泳げるからと、顧問の指導も熱が入っている。
咲も去年よりタイムを上げるべく、かなりの距離を泳いでいた。
クラブを終えるともう一歩も動きたくない。体は疲れきって今すぐにでも寝てしまいそうだ。
フェンスにもたれて、いつの間にかうとうとしたようだった。誰かに肩を掴まれてはっとした。
「こんなとこで寝るなよ。風邪引くぞ。ほら、立って。」