そこから先は何が何だかわからなくて、気が付くと近所の人たちが数人、尊の家に集まって話をしていた。
咲の知ってる大人の人。その中に尊のお父さんとお母さんもいた。
「咲ちゃん。」
尊のお母さんが呼んだ。
「咲ちゃんの親戚の人で誰か知ってる人はいる?」
そんな人いないよ、おばちゃん。サキは何も知らない。
小さく首を振った。
何か大変な事が起きているのはわかる。
いつまで経っても帰らないお母さん。
頭を抱える大人たち。
傍にいた尊の手をぎゅうっと握った。
親戚なんか誰もいなくて、近所の人たちだけの小さなお葬式。
咲は天涯孤独となった。