「ねえ、何でそんなに急いで答えを出さなきゃいけないの?」

「何で…て、もうすぐいなくなっちゃうのに、悠長にしてられない。」

「だから何で?一生会えない訳じゃないじゃん。パソコンがあればスカイプだってできる。電話で声だって聞ける。確かに傍にはいないよ。寂しいと思う。でも先輩の活躍を遠くから見守るのも素敵だと思わない?帰る頃には有名なピアニストになって、気安く声なんかかけれないかもよ?それなのに先輩から『友美!』なんて呼ばれたら…なんて考えたら楽しいじゃない。」

「もし…もしだよ。もしも聖司くんに好きな人ができたら…金髪に青い目のお人形みたいな子が一緒だったら、どうすればいいのよお!」

両肩を掴まれて揺さぶられる。首がガクガクとなった。

「お…お…落ち着いて…。」