福田くんがまだこっちを見てるのに、尊は咲の首に腕を回してぐいっと引っ張る。 「痛いって。もうちょっと優しくできないの?」 「お前に優しくしたら、付け上がんだろ?」 「どういう意味よ!」 ギャーギャー言いながら中へ入った。 家の外では、呆気に取られた福田くんが呆然と立っていて、諦めにも似た表情で、小さくため息を吐くと「まだ、俺の頑張れる余地、あるのかな…。」と呟いて帰って行った。