更に落ち込みかけた時差し出された手は、それまで着けていた手袋を外して目の前に現れた。
見るとフワリと優しい笑みを浮かべて、「ほら。」と咲が手を重ねるのを待っててくれて…。
その手をじっと見つめていると、「いらねえのかよ?」とちょっぴりムスッとしてしまう。
慌てて「いる!」と答えると、手袋を外して手を重ねた。
「お前…手袋してても冷たいな。」
尊はそのまま自分のジャンパーのポケットに手を突っ込む。
それだけで安心して、もう怒ってないんだと伝わってきた。
尊はポケットの中で手を離した。
え…。もう繋いでくれないの?
すると今度は指と指を絡ませるように、ぐっと強く握りしめた。