「出かける前日になると、いっつも夜遅くまで起きていて寝坊する。それはまあいい。でもな、出かけてまで落ち込むのを引きずるな。」

「…だって、予定の時間に間に合わなかったし…。」

「時間ぐらいずらせばいいことだろ?」

「でも、尊不機嫌だったじゃない。」

「お前がいつまでもしょぼくれてるからだろ?」

「そんなの…そんなのもういいよって言ってくれなきゃわかんないよぉ――っ。うっ、えぐっ。」

「わっ!!バカ、泣くなっ。人が見てる。」

焦った声が聞こえて、急に目の前が暗くなる。

尊は咲の頭を抱えると、自分の胸に押し付けた。

うっ…うぇっ…

泣いていると尊は優しい声で宥めてくれた。