「北条さんとお兄さん、似てるんですか?」

「小さい頃はよく似てるって言われたけど、今は全然似てないんじゃない?いつの頃からか、兄貴の雰囲気が急に変わってね…。」

「ふうん。…くしゃん!」

「おおっと。寒い?」

急に外へ連れ出されたから上着だけ羽織って、手袋北条さんちに置いてきちゃった。

北条さんは右手で咲の肩を抱くと、息を吹きかけていた咲の両手を上からぎゅっと左手で握った。

「え…あの…。」

「こうしてるとちょっとはマシ…かな?」

うわー、緊張してきちゃった。

寒さで固くなっていた体が更に固くなる。

「戻ろ。」

肩を抱いたままの体勢で家に向かって歩き始めた。

いや、あの…恥ずかしい…。

体は寒いのに、顔だけがポッポしてる。

なかなか放してとも言えず、そのまま歩いて行った。